先代が建立させていただいた、山の上にあるお墓の移設工事。東伯郡北栄町

鳥取県一円にて、お墓や石材のお仕事をさせていただいております、前田石材 代表の前田です。東伯郡北栄町にて、亡くなったお父様の念願だった、山の上にあるお墓の移設工事をお手伝いさせていただきましたのでご紹介いたします。

 

東伯郡北栄町 お墓の移転

 

北栄町にお墓をお持ちのお客様から、お墓を移設したいとご相談いただきました。山の上にお墓があってお参りが大変なので、以前からお考えだったそうです。

 

こちらがご相談のお墓です。当社の先代が、平成2年に建立させていただいたお墓で、代々のお墓と灯籠のほか、古いお墓がたくさん並べられています。お客様は、山の上なのでお参りに不便であること、雨が降ると滑って危険なことなどから、ずっと移転をお考えだったそうで、このたびお話をいただきました。

 

こちらが移設先です。ご自身のお持ちだった土地を整理して、地目を墓地へ変更して許可された場所です。申請のほか、半径100mの方の印鑑をいただくなどの手続も必要になります。北栄町では、いくつか条件がありますが、条件が揃えばご自身の土地を墓地にしてお墓を建てることができます。近年は同じようにお持ちの土地を墓地に変更し、山の上からお墓を移設するケースも増えています。当社ではその許可を得るお手伝いもしております。

 

今回の移設工事では、こちらの墓地にあるお墓や古い灯篭などはすべて撤去して更地に戻します。移設先へは、代々のお墓本体と墓前灯篭を設置し、悩まれましたが他は処分することになりました。

 

いよいよ工事スタートです。今回の墓地は山の上にあったので、25トンの大型のクレーンをチャーターして工事を行いました。まずはクレーンで資材やカニクレーンを搬入します。

 

写真手前が今回のお墓がある場所です。お墓へと続く通路に、重機が通るための道を作っていきます。大型のクレーンがあってこうして機材等を入れることができますが、大きな機械もない時代にこの墓地でお墓を建てた職人さんは、おそらく石を担いで運んだのだと思います。

 

事前にお骨の取り出しやご供養は済まされていたので、お墓の取り外しを進めていきます。お墓や灯篭を取り外したら、階段や基礎などもすべて解体して搬出します。

 

お墓の解体工事が終わりました。工作物は完全に取り除くというご指定で、完全に更地に戻しました。取り外した墓石は工場へ持ち帰り、洗浄して準備します。

 

移設先での工事が始まりました。草を刈って、表土や柔らかい土を取り除いて、周りに設置するブロックの囲いの位置を出しているところです。木材に渡した黄色いヒモで、ブロックの外柵の位置や高さなどを確認しています。

 

周りのブロック積みを進めています。今回は、「リブブロック」という耐久性の高いブロックを使用しました。お墓の後ろは大雨でも水が中に入らないように2段のブロックを積み、土留めの役割も果たします。

 

囲いの内側にお墓の基礎を打ちました。中央が納骨室です。土砂が流れ込まないような高さ設計や、踏み込みの奥行きがあって上り下りがしやすい階段など、できる限り色々な点に配慮しています。

 

納骨室の上に、お墓の一番下の地廻り石を設置しました。灯篭も火袋まで据えています。このあと、工場で手直しした墓石等を据えたら完成です。

 

移設工事完了です。中央に代々のお墓、敷地の両端に灯篭を配置しました。お墓の左後方には塔婆立ても新しく設置しました。地廻り石が奥行きに対して少し大きかったので、お墓の向きや配置を変更することも考えましたが、以前のお墓に倣ったこの配置が一番落ち着くのではないかと思いましたので、地廻り石を少し加工して設置しています。

 

再設置する墓石や灯篭は、全体をきれいにクリーニングして汚れを落とし、切り仕上げの部分は磨き直して色の入れ替えを行ってから設置しました。線香立も移設してきたものです。

 

お墓の右隣には、移設したことを記した石碑を設置しました。今回お父様が亡くなられたのを機に移設されたのですが、お墓の移設は以前からのお父様のご希望でした。お父様のお名前を残したいというご家族様のご希望で、お父様のお名前の入った石碑を残しました。

 

後方のブロックはこのような仕上がりです。高さがあるので土や水の流入を防ぐことができます。

 

お客様には、「とても立派にできた」と喜んでいただくことができました。このたびは、先代に引き続き当社にお声かけいただきましてありがとうございました。お父様の念願の移設を叶えるお手伝いができましたことを、大変ありがたく思っております。これまでは山の上にあるお墓ということで、お参りに行くのも大変ですし、落ち葉の掃除などもとてもご苦労されていたと思います。新しいお墓はご自宅からも近い場所ですので、これからは気軽にお参りにお越しいただければ嬉しい限りです。またいつでもお声かけください。