甕(かめ)に納骨されていた小田石のお墓のカロート・巻き石の作成、クリーニング等。東伯郡湯梨浜町

鳥取県一円にて、お墓や石材のお仕事をさせていただいております、前田石材 代表の前田です。東伯郡湯梨浜町にて、甕(かめ)に納骨されていた小田石のお墓のカロート・巻き石の作成、クリーニング等をお任せいただきました。

 

湯梨浜町 リフォーム(納骨室・巻き石作成、クリーニング)

 

湯梨浜町にて、お墓のご相談をいただきました。ご家族が亡くなられて納骨された際に、あることに気付かれたそうです。

こちらがご相談いただいたお墓です。小田石(こだいし)という倉吉市内で採れていた安山岩系の石で建てられています。昭和26年建立なので、もう70年を経たとても歴史のあるお墓でした。この辺りで昔建てられたお墓には、お墓の下に甕(かめ)があり、そこに散骨する形で納骨されているお墓もあります。こちらのお墓も同じ納骨方法で、甕の中に水が溜まってしまっていたそうです。今のお墓は石やコンクリートで納骨室を作りますが、水が溜まらないような構造にすることが一般的です。

お悩みを解決する方法として、お墓はそのままで、水が溜まらないような納骨室を新しく作ることになりました。それにあわせて、歴史のあるお墓で白っぽいカビのような汚れも見られましたので、汚れを落としてきれいにすることもご希望でした。また、後々お墓を建て替えるときのことを考えて、お墓の囲い(巻き石)を新しく設置したいというご要望もいただきました。

 

工事が始まりました。まずはお寺様に来ていただいて魂抜きをして、お墓を取り外す前に洗浄を行いました。お客様に立ち会っていただいて外柵の位置を確定したあとお墓を解体して、下にあった甕ごと取り出し、さらしの袋に仏様を収骨させていただきました。すべて取り外したら、基礎工事から開始です。少し地盤が軟弱でしたので、お墓を設置する場所の四隅に松杭を打って補強しました。巻き石の基礎を周りに打って、しっかり固まるまでしばらくの間養生します。

 

基礎の上に巻き石を設置、その内側にお墓の基礎を打ちました。両脇の穴は水抜き穴です。中央にはもともとのお墓の地廻りの四ツ石(芝台)を設置、その内側に御影石製のカロートを作成しました。カロートの底は土のままにしているので、万一水が入っても地中に排水することができます。手前は奥行きのある踏み込みの階段と、拝み石を設けました。

 

四ツ石から上の墓石を据え付け、灯篭と線香立を設置、周りに玉砂利を敷いたら完成です。灯篭は、新たに窓枠を設けました。

 

墓石本体です。全体に付着していた汚れがかなり取れて、もともとの小田石の色合いが感じられるようになりました。

小田石は、今は採掘が終わっており、地元の石材店で少し在庫しているもの以外は出回ることはありません。安山岩系なので柔らかく細かい加工がしやすい石で、このお墓も蓮華やスリンの細かな加工がなされています。

 

長い歴史のあるお墓なので、側面など所々には、模様のようなものが残っています。あまり強く洗浄すると石が傷んでしまうので加減しながら洗浄を行いますので、どうしても取りきれない汚れもあります。ただ、これが長い歴史を経てきたお墓の歴史そのものと言えるかもしれません。

 

巻き石は、後方だけを高く設計しています。奥から手前に向かって少し傾斜しているため、将来的に後方から水や土が入ってくるのを防ぐためです。石製の塔婆立ても新たにお付けました。

 

工事の終わったお墓をご覧になったお客様には、とても喜んでいただけました。お話を伺うと、当初はご自分で洗浄しようと思われていたそうですが、完成後の様子を見て、「やっぱりプロの仕事は違うなあ」とお褒めの言葉をいただきました!今回は洗浄に600リットルもの水を使用しましたので、もしご自分でされていたらかなり大変だったかもしれません^^; このたびは工事をお任せいただきまして、ありがとうございました。何かお困りの際は、いつでもお声かけ頂ければ幸いです。

高圧洗浄機は一般の方でも扱う機会があると思いますが、お墓の石は実はとてもデリケートなので、汚れをできるかぎり落とすことはもちろんですが、石を傷めずに洗浄することがとても重要です。私どもプロが洗浄を行う際は、角や文字彫刻の部分など、ほかより強度の弱いところは水圧を加減して洗浄するなど、細かい調整をしながら進めています。今回のお墓のような柔らかい石や、古いお墓では特に難しい調整が必要になります。その点で当社は、普段から工場で石を加工している技術力の高い職人達が、石の状態を見ながら慎重に作業を進めていますので、安心してお任せください!

今回の工事は、甕に納骨されていた小田石のお墓のカロート・巻き石の作成、クリーニング等でした。倉吉や湯梨浜町など、鳥取中部あたりの古いお墓には、今も小田石で作られた同じ構造のお墓はたくさんあります。水が抜ける構造になっていない場合は、今回同様溜まってしまうこともありますので、ご納骨の際にもし気付かれた際はお気軽にご相談くださいませ。